マングリッシュって何?
マングリッシュって何?と聞かれると、一言でいうなら「マレーシアで進化した独自の英語」です。
マレーシアはマレー系、中国系、インド系などさまざまな文化が混ざり合っている国なので、英語も普通の英語では終わりません。
英語にマレー語、中国語、タミル語などが自然に混ざり合って、いつの間にか「マングリッシュ」という独特な言葉になりました。
私はマレーシアに行く前、「英語が通じる国だから安心だな」と思っていました。
ところが実際に行ってみると、確かに英語ではあるんです。
でも、聞き取れない。
単語は知っている。
文法も知っている。
なのに何を言っているのか分からない。
最初はかなり衝撃でした。
特に驚いたのは、会話の最後にやたらと「lah」が付くこと。
「OK lah」
「Can lah」
「Don’t worry lah」
最初は「その lah って何!?」と頭の中がハテナだらけでした。
しかもマングリッシュはとにかく効率重視。
アメリカ英語なら長い文章になるところを、マレーシアでは「Can.」の一言で終わることも珍しくありません。
「できます。」
「大丈夫です。」
「問題ありません。」
「任せてください。」
全部まとめて「Can.」
逆に無理なら「Cannot.」
ものすごく分かりやすい世界です。
しかし現実は違いました。
確かに英語です。
でも英語なのに聞き取れない。
単語は知っている。
文法も分かる。
なのに何を言っているのか分からない。
まるで知っているはずの親戚が急に関西弁全開で話し始めたような感覚でした。
目次
一番有名なのは「lah」
マングリッシュといえばまずこれ。
とにかく最後に「lah」が付きます。
- OK lah.
- Can lah.
- Don’t worry lah.
- Relax lah.
最初は「ラ?ラって何?」となります。
意味はほとんどありません。
ただ不思議なことに、付くだけで急に優しく聞こえたり、断定っぽく聞こえたりします。
日本語でいう「だよねー」「さー」「よー」みたいなものかもしれません。
マレーシア人はたぶん世界一「lah」を愛している民族です。
アメリカ英語との大きな違い
① 主語が消える
アメリカ英語
- Are you going to the mall?
(ショッピングモールに行くの?)
マングリッシュ
- Go mall ah?
もはや主語がいません。
be動詞も行方不明です。
英語教師の私は最初、「中学一年生の英作文かな?」と思いました。
でも普通に通じています。
② 「Can」が万能すぎる
アメリカ英語
- Yes, I can do it.
- Sure, no problem.
- That’s possible.
マングリッシュ
- Can.
以上です。
たった一語。
しかし意味は、
「できます」
「大丈夫です」
「任せてください」
「問題ありません」
「可能です」
全部含まれています。
逆にできない時は、
- Cannot.
- Cannot lah.
終了です。
潔い。
日本人の「ちょっと難しいかもしれませんねぇ…」という遠回し文化とは真逆です。
③ 時制が時々自由
アメリカ英語
- I went there yesterday.
マングリッシュ
- Yesterday I go there.
昨日なのに現在形。
最初は頭の中で赤ペン先生が暴れます。
しかし会話は成立します。
なぜなら「Yesterday」があるのでみんな分かるから。
合理的と言えば合理的です。
④ 冠詞が消える
アメリカ英語
- I bought a car.
マングリッシュ
- I bought car.
a と the がいなくなります。
気付いたら消えています。
どこへ行ったのでしょう。
たぶん「lah」と一緒にどこかへ旅立ったのでしょう。
⑤ 語尾が質問になる
- Can or not?
- Want or not?
- Eat already?
これは本当にマレーシアらしい表現です。
例えば、
- Want or not?
(欲しい?) - Can or not?
(できる?) - Eat already?
(ご飯食べた?)
最初の頃の私は、
「何を食べた?」
「もう食べた?」
「これから食べる?」
と頭の中が大混乱でした。
でも実際は単なる挨拶だったりします。
⑥ 「Already」が働きすぎ
アメリカ英語
- I have already eaten lunch.
マングリッシュ
- Eat already.
たった二語。
現在完了形、消滅。
文法書が泣いています。
でも誰も困っていません。
アメリカ人とマレーシア人の会話を想像してみる
アメリカ人
「Would you mind helping me with this?」
マレーシア人
「Can。」
アメリカ人
「Thank you very much.」
マレーシア人
「Can lah。」
このスピード感。
無駄がありません。
これを見てマレーシア留学や子供留学を諦めようと思った方へ
ここまで読んで、
「えっ、マングリッシュばかりなら正しい英語が身につかないのでは?」
「やっぱりアメリカやオーストラリアの方がいいのかな?」
と思った方もいるかもしれません。
でも、少し待ってください。
確かにマレーシアの日常生活では、アメリカやカナダのように四六時中ネイティブ英語に囲まれて生活する環境ではありません。
街を歩けばマングリッシュも飛び交っていますし、英語以外にもマレー語、中国語など様々な言語が聞こえてきます。
そのため、「英語だけの環境」という意味では英語圏の留学には敵わない部分もあります。
ただ、それは必ずしもデメリットだけではありません。
学校では正しい英語を話す先生もたくさんいますし、特にインターナショナルスクールでは非常に高いレベルの英語教育が行われています。
また、マレーシア人の中にも驚くほどきれいな英語を話す人がたくさんいます。
初めて会った時、「この人アメリカ人かな?」と思ったら実はマレーシア人だった、ということも珍しくありません。
結局のところ、どこの国に行くかよりも、どんな環境に自分を置くか、どんな生活を送るかの方がずっと大切なのだと思います。
例えば、
放課後は現地の友達と遊ぶ。
家では英語の動画や本に触れる。
積極的に話しかける。
失敗しても気にせず会話する。
そんな生活をしていれば、英語力は自然と伸びていきます。
逆に、どれだけ英語圏に留学しても、
日本人同士で固まる。
授業以外は日本語で過ごす。
英語を話すのが恥ずかしくて黙ってしまう。
こうなってしまうと、実は思ったほど英語は伸びません。
これはオーストラリアでも、カナダでも、アメリカでも同じです。
特に英語圏への留学で意外と多いのが、
「授業は理解できるけれど、現地の友達ができない。」
というケースです。
英語が聞き取れない。
返事ができない。
会話についていけない。
そうなると、どうしても同じ日本人留学生と過ごす時間が増えてしまいます。
もちろんそれが悪いことではありません。
でも、「英語を使って生活する」という経験は思った以上に減ってしまいます。
その点、マレーシアは英語を第二言語として使っている人が多いため、外国人が英語を話すことにとても寛容です。
多少文法が違っても待ってくれる。
発音が違っても聞こうとしてくれる。
これは英語を学ぶ子ども達にとって、とても大きなメリットだと私は感じています。
そして何より、マレーシア留学最大の魅力はやはりコストパフォーマンスです。
学費。
生活費。
食費。
住居費。
これらを考えると、英語圏への留学と比べてかなり現実的な選択肢になります。
もちろん、「ネイティブ英語だけの環境」を最優先に考えるのであれば、アメリカやオーストラリア、カナダという選択肢も素晴らしいと思います。
でも、
「まずは海外生活を経験させたい。」
「英語を好きになってほしい。」
「将来的に海外大学も視野に入れたい。」
「費用を抑えながら質の高い教育を受けさせたい。」
そう考えるご家庭にとって、マレーシアは十分すぎるほど魅力的な選択肢だと思います。
結局のところ、英語力を伸ばすのは国ではありません。
環境の使い方と本人の行動力です。
アメリカにいても英語を話さない人は伸びません。
マレーシアにいても積極的に英語を使う人は驚くほど伸びます。
留学先選びで大切なのは、「どこの国が一番いいか」ではなく、「その国でどんな生活をするか」なのかもしれません。
最後に
私はマレーシアへ行く前、
「英語は間違えたら恥ずかしいもの」
だと思っていました。
でもマングリッシュに出会って考え方が変わりました。
多少文法が違ってもいい。
発音が完璧じゃなくてもいい。
大事なのは伝えようとすること。
そしてもし相手がマレーシア人なら、
最後に「lah」を付ければなんとなくそれっぽくなります。
Thank you lah.
See you tomorrow lah.
No problem lah.
なぜか少し優しく聞こえるから不思議です。